視能訓練士の延原です。
先日から令和4年度の3歳児健診が始まりました。今年度は田中眼科の視能訓練士が浅口市、里庄町、矢掛町の3歳児健診の視覚検査を担当します。浅口市と里庄町では、今年度から受診者全員に屈折検査を実施します。屈折検査というのは、近視・遠視・乱視の度数を計測する検査です。今までは、お家での検査ができなかったお子さんや希望するお子さんのみに実施していました。しかし、全員に屈折検査を実施することで今まで見逃されていた多くの弱視が発見できることになりました。
昨年から、全員にスムーズに屈折検査を実施するために、保健師さん達と話し合いを重ね準備をしてきました。当日はとてもスムーズに屈折検査を実施することができ、3名のお子さんの遠視や乱視を検出することができ医療機関に紹介することができました。
昨年7月に日本眼科医会、日本視能訓練士協会の3歳児健診における視覚検査マニュアルが改定されました。医療機器製造技術の発達でハンディータイプの屈折検査機器が生産され、弱視の主な原因となる屈折異常や斜視のスクリーニングが幼児への負担なく短時間で簡便に実施できるようになりました。そのため、3歳児健診における屈折検査の導入は不可欠です。
しかし、注意すべきは屈折検査機器では、視力そのものを評価することができない点です。屈折検査のみでは他の原因による視覚異常の検出ができません。視覚異常を検出する最も重要な検査は視力検査で、屈折検査導入により視力検査を廃止することは考えてはいけません。
幼児の視覚検査は、限られた時間内でより正確に、かつ飽きさせずに行うことが必要とされ、小児の検査に精通してる視能訓練士が積極的に参加する必要があります。しかしながら視能訓練士が健診に関わっている自治体は一部に限られているのが現状です。岡山県も私達が参加している3市町村以外に視能訓練士が参加しているのは2市町村だけです。
人生100年時代。より良い視機能を保っていくためにも、視覚の発達を阻害する因子を早い段階で見つけることは私達視能訓練士の使命の一つです。多くの視能訓練士が視機能管理の専門職として、その知識や検査技術を母子保健事業で活かし貢献することができればいいなと思います。